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オーブン島物語(12)小魚のご褒美

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アンドロメダ星雲に浮かぶある惑星の
オーブン島(とう)に住む少年は
深夜ラジオのドラマの舞台、グラタン王国の話に夢中になっていた。

そんな時、れんじいさんの料理に感動した少年は
れんじいさんが営む「じゃがいもおっさんの店」で働き始め、
自らは気づかぬままその感性と腕前を上げていた。

この日は島で貝の養殖を営む漁師、リキーヤさんのお手伝い。
貝の違いを海で養殖するための作業。
朝は4時に起きての作業。

島の中では産地と呼ばれる場所での作業。
慣れない少年は周りから叱咤激励や注意を受けるばかり。

それでも、リキーヤさんの思う部分まで
作業を進めることが出来た。

すると、漁師仲間から分けてもらったという
小魚が入った袋をリキーヤさんが差し出して
お土産に持って帰るようにしてくれた。

少年はありがたく持ち帰り、
さっそくれんじいいのお店、
「じゃがいもおっさんの店」の賄いに使ってみた。


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粉をつけて素揚げにし、レモンや醤油で刻み野菜とともに
冷蔵庫で冷やした南蛮漬け。


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生姜醤油で下味をつけた唐揚げ。
ジャガイモも一緒に揚げて付け合わせにする。

白菜が半端に残っていたのでコールスロー風に仕上げる。

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「ごはんでもいいけど、やっぱり飲みたくなるわね」
メイはいつもの調子で嬉しくなるような言葉をくれる。

食べ方を見ているだけで満足しているのがよくわかる。

「店で出してもいいなあ、今度魚貰ったら頼むよ」
れんじいさんも嬉しそうだ。

貝が食べられるようになるまでの漁師の苦労を体験した少年。
この経験が役に立つ日が来るのだが
それはまた別の機会に…

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[ 2022/12/20 18:00 ] オーブン島スター家物語 | TB(0) | CM(0)

オーブン島物語(11) ひとり呑み

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アンドロメダ星雲に浮かぶある惑星の
オーブン島(とう)に住む少年は
深夜ラジオのドラマの舞台、グラタン王国の話に夢中になっていた。

そんな時、れんじいさんの料理に感動した少年は
れんじいさんが営む「じゃがいもおっさんの店」で働き始め、
自らは気づかぬままその感性と腕前を上げていた。

疫病禍の中、5つの島の振興策「五島キャンペーン」で
れんじいさんの妹、ヨシミの店がある ノッ島、通称「のっと」
での時間を過ごした。



そこから、数か月。
疫病から人々を守る雫のような薬の普及が進み、
飲食店への賑わいが戻り始めた。

ヨシミからは件の訪問後
何かと気にかけてもらっていたので
そのお礼とのっとの魚料理を味わいたかったのだ。

予め訪問を伝えていたこともあり、
ヨシミはいつもの屈託のない笑顔で迎えてくれる。

少年(筆者注:とはいっても二十歳を超えている設定でスルー願います)は、
まづは洗浄!(筋太郎か!)と
ジョッキに注がれた黄金色の水分を流し込む。

落ち着いて2つの器に盛られたお通しに視線を移した。
「エビにサンマかぁ、さりげなく海の幸を強調してくるなあ」

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甘めに調理されたサツマイモとビールのミスマッチを楽しみつつ
おすすめから、最初の肴を選んだ。
「どれも気になるよ。れんじいさんやメイさんがいれば
 色々たべられるのになあ」

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悩んだ末の最初の器は鯵のたたきだ。
新鮮な魚と薬味のまったりした感じがたまらなく心地よい。
2杯目はお酒を迷わず注市いでもらう。

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そして、魚の2つ目。
甘エビのから揚げ。
これならお酒に合いそうだ。
塩でいただきたいと考え、ヨシミにお願いすると、
快く小皿に入れて届けてくれる。


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塩のみ、レモン&塩、マヨネーズ&レモン
と味の変化を楽しむ。
サクサクぷっくりの食感が楽しすぎる。

駄菓子菓子、
この時間は少年にとって限られた時間だった。
オーブン島へ戻る舟の出航時間に合わせて
店を出る必要があったのだ。

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小一時間のノッ島でのお酒を楽しみ、
少年は帰りの船で波に揺られながら帰宅した。


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帰る直前、ふと、敷紙に目を落とす。

楽しく笑い… 一人だけどおいしかったから笑えたな
食を囲み… うん、できた!
酒をのむ… 常時に程々にできたよ!
「まずはお肉から…」…わ~ごめんなさい。

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次回はお肉から食べようと心に誓う少年だった。


[ 2021/11/29 05:15 ] オーブン島スター家物語 | TB(0) | CM(0)

オーブン島スター物語(10) 賄いパエリア

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アンドロメダ星雲に浮かぶある惑星の
オーブン島(とう)に住む少年は
深夜ラジオのドラマの舞台、グラタン王国の話に夢中になっていた。

そんな時、れんじいさんの料理に感動した少年は
れんじいさんが営む「じゃがいもおっさんの店」で働き始め、
自らは気づかぬままその感性と腕前を上げていた。

疫病禍の中、5つの島の振興策「五島キャンペーン」で
少年、れんじいさん、メイの3人が向かったのは
れんじいさんの妹、ヨシミの店がある ノッ島。
諸島の人々は「のっと」と呼んでいる。



訪問初日の宴の翌日、れんじいさんは釣りに出かけ、
メイはヨシミと女子旅!と盛り上がり観光に出かけてしまった。
ヨシミに教えてもらった観光施設に少年は向かった。
ノッ島で取れた新鮮な魚、缶詰などの魚介類の加工品、
山の幸などがたくさん並んでいる名産品の売場は
一人でも楽しむことができた。

少年はいくつかの調味料を購入し、
賄いづくりに役立てようと考えていた。


そんな中、ヨシミの店に少年が戻ると、
れんじいさんが釣りから帰ってきた。
「だめだこりゃ」とクーラーボックスから出てきたのは小さな鯛。
「これでなんか作ってくれよ」とれんじいさんは捌いた鯛を渡す。

「できればコメと一緒に炊いてくれねえか」
「冷蔵庫からテキトーに使っていいからよ」

れんじいさんからのミッションに従い、
冷蔵庫を開けるが、タマネギが半個。ニンジンのかけら…

そういえば、昨夜、れんじいさんと板長が話をしていたのだ。
二人で一緒に仕入れをしてくるまでは何もないという事だ。

お米はあった。

「よしっ、あれを使おう!」


少年は今日手に入れてきた調味料を手に取ると準備を始めた。


20分ほどでできたのがこれだ。

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タイのパエリア。
水で溶いたターメリックを浸しておく。
洗い場に干してあった深めのフライ用鍋で鯛を塩コショウで軽く炒める。
鯛を一旦皿に移し、油を注ぎタマネギが透明になるまで炒め。
洗っておいた米、とニンジンを炒め、米より多めの量のターメリックの汁を注ぐ。
沸騰したら蓋して10分、蒸らして10分。
沸騰して5分したところで、タイの身を戻す。
蓋の代わりにはアルミホイルを被せた。

よそでの料理で道具や準備に不足はあったが、
出来上がりはまずまずだった。

「やるじゃねえか!タイでパエリアなんてオレには思いつかねぇ。」
れんじいさんは嬉しそうに平らげた。
「女たちには内緒にしておくか」とにやりと笑う。

ノッ島の2日目のできごとだった。

[ 2021/06/23 04:30 ] オーブン島スター家物語 | TB(0) | CM(0)

オーブン島物語(9) ノッ島での宴

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アンドロメダ星雲に浮かぶある惑星の
オーブン島(とう)に住む少年は
深夜ラジオのドラマの舞台、グラタン王国の話に夢中になっていた。

そんな時、れんじいさんの料理に感動した少年は
れんじいさんが営む「じゃがいもおっさんの店」で働き始め、
自らは気づかぬままその感性と腕前を上げていた。




5つの島の振興策「五島キャンペーン」で3人が向かったのは
れんじいさんの妹、ヨシミの店がある ノッ島。
諸島の人々は「のっと」と呼んでいる。

ヨシミは初対面の少年を気さくに迎える。
「ゆっくりしていってぇ~」

メイは嬉しそうにヨシミと話している。
じゃがいもおっさんは、調理場の板前に挨拶に入って行く。

一息ついてさっそく料理をごちそうになる。
ノッ島は漁業が盛んな島だ。

「海荒れててあんまりいいのはいってなくてごめんねぇ~」
ホールで接客を司どるヨシミは申し訳なさそうに切り出しながら
最初のお皿を運んできた。


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お通しは色鮮やかな食材が並ぶ。
じゃがいもおっさん、メイ、少年の三人はグラスを合わせ
これから運ばれる料理に期待を高める。

食材に熱を通したじゃがいもおっさんの料理とは違い、
新鮮な魚介の素材を活かした料理が続く。

タラの白子はポン酢仕立てで。

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イカのなめらかでまろやかで心地よい食感。

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「美味しいけど、ちょっとお腹にたまるのがほしい~
ヨシミさん、なんかお願が~い!」

肴とお酒を楽しんだメイは、ここでも自分のペースで過ごしている。
「んでねぇ…、賄いでさっき食べたんだけど雑炊でもいい?」

調理場の若い板前がそんな会話を予測していたかのように
出てきたのが鯛雑炊。

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こうしてノッ島での楽しい夜は少年の引き出しを増やすこととなるのだが
それがわかるのはまた先の話だった。



[ 2021/02/11 17:30 ] オーブン島スター家物語 | TB(0) | CM(0)

オーブン島物語(8) 五島キャンペーン

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アンドロメダ星雲に浮かぶある惑星に
オーブン島(とう)という島があり、
スター家という島の中の一つの村を収めている家族がいた。

家族の中の一人の少年は、深夜ラジオのドラマの舞台となっている
どこか知らない星にあるグラタン王国の話に夢中になっていた。

そんな時、オーブン島の「じゃがいもおっさんの店」で働き始めた少年は
じゃがいもおっさん=れんじいさんの作る料理に発見と感動を重ね、
自らは気づかぬままその感性と腕前を上げていた。




オーブン島のある惑星では、奇妙な疫病が島に暗い影を落とし始めていた。
島に観光客はおろか、外食を控える人々が増えていた。

それでもれんじいさんの仕事は確かだったので、
来店する客数の微減はあるものの、
じゃがいもおっさんの店は、少人数単位での客層を置いてにしていることもあり、
じゃがいもおっさん、メイ、少年の3人は
家族連れ、お一人様など根強いファンに支えられていた。

「来週は予約も入ってないし、オレの妹の店に行ってみねえか?」
少年の作った賄いを食べながられんじいさんが切り出した。

「わぁ、ヨシミ姉さんのお店! 行きたい行きたい」
メイは歓喜の声を上げた。

「今度始まるキャンペーンもあるし、オレもしばらく会ってねえから
 顔見に行くついでに、お前さんのことも紹介したいしな。」

おっさんは少年をヨシミと呼ばれる女性に合わせたいようだった。

オーブン島や周りにある島々が共同で振興キャンペーンが行うことになり、
島同志の行き来きに特典が付くという。

「五島キャンペーン」の通り、5つの島々が対象地域のようだ。

少年は「でも宿代が…」と不安げに話すも
「心配いらねぇ、ヨシミの家に泊めてもらえるよ、お前さんはなんか作ってくれりゃあそれでいい」

かくして、少年の歓迎会を兼ねたじゃがいもおさんの店の慰安旅行が決まった。


[ 2021/02/09 18:14 ] オーブン島スター家物語 | TB(0) | CM(0)