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オーブン島物語(7) 賄いデビュー

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アンドロメダ星雲に浮かぶある惑星に
オーブン島(とう)という島があり、
スター家という島の中の一つの村を収めている家族がいた。

家族の中の一人の少年は、深夜ラジオのドラマの舞台となっている
どこか知らない星にあるグラタン王国の話に夢中になっていた。

そんな時、オーブン島の「じゃがいもおっさんの店」で働き始めた少年は
じゃがいもおっさん=れんじいさんの作る料理に発見と感動を重ね、
自らは気づかぬままその感性と腕前を上げていた。




少年が店で働き始め、半年が月が過ぎた。
少年は多くの雑用を嫌な顔一つせずこなしていた。

シェフであり店主である、れんじいさんの仕込みや調理の補助をこなし、
接客担当のメイが忙しければすかさずサポートに入る。
少年はじゃがいもおっさんの店の一人として順調に店になじんでいた。

少年は、この日初めて賄いを作るよう命じられた。
じゃがいもおっさんからのテーマは「グラタン皿でグラタン」を
昨夜の残りのペンネを使うこと。他の材料は自由に。

それだけだった。

「さぁ、モグモグタイムよ」
メイが相変わらず楽しそうに、れんじいさんに声をかける。

「今日はお前さんの賄いデビューだな?」
れんじいさんは椅子に腰かけながら少年に声をかける。

「そだね~」
メイは鼻をクンクンさせながらテーブルをセットしている。

「ちょっと待ってくれよ!あと5分待ってくれよ」
少年はあわてて答えながらオーブンの中を覗き込む。

「まだ焼き色がイマイチなんだよ…」少年が残念そうに答える。
「いいからいいから」メイはもう楽しみでしょうがない。

「今食わねえと開店に間に合わないんじゃないかい」
れんじいさんは開店後すぐの予約があることを気にしている。
「いいよ、ちょっと焦げ色ついてれば…食べちゃおうよ 持ってきな」

「ハーイ」メイは楽しそうに賄いを運ぶ。

「では、いただこうか」
れんじいさんは嬉しそうにワインボトルを片隅に置く。

焼け具合を少年は申し訳なさそうにして
2人が食べるのを見つめるだけだった。

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「うまいじゃないか、なあメイ」
「そだね~」

2人は自分の器をあっという間に平らげてしまった。
満面の笑顔で。

「早く食え、店開ける準備しなくちゃな」
「そうよ、おいしいよ」

限られた材料、限られた時間で仕事をするってやっぱり難しい。
オレもまだまだダメなんだ。

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味を確かめる余裕もなく、スプーンを眺める少年。

れんじいいさんは嬉しそうにホワイトソースの鍋をかきまぜている。
鍋には少年が作ったソースの残りも加えられている。

メイは器を洗いながら少年を優しく見守っていた。



春はもうすぐだ。

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[ 2020/03/29 18:33 ] オーブン島スター家物語 | TB(0) | CM(0)

サケのポテトチーズ焼き 

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この日は仕事やら私用やらで金融機関や行政機関を巡回。

ちょうど、ランチタイムの混雑前に滞在した五輪にあります役所の食堂へ。
6階にあり、近くの大病院や野球場から
遠くは仙台湾まで望めることができます。

520円の日替わり定食。
この日はサケのポテトチーズ焼き。

ごはん、みそ汁、メインのお皿に小鉢がついてきます。

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こういうところに行きますと、肉系とかカレー系とか
多少パンチのあるメニューを選んでしまいがちのワタクシですが
この日の夕メシのメニューが決まっていたため、
魚系もしくはあっさり系のラインナップが必要なのでしたが
そういう意味では夕ごはんに良い形でつながる昼ご飯でした。

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鮭自体はこじんまりしていましたが
さまざまな素材を組み合わせた彩りが印象的でした。

駄菓子菓子、無料と信じていた駐車料金、
定額料金を取られてしまい…





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[ 2020/03/28 18:25 ] 社食・役所の食堂 | TB(0) | CM(0)

とよ川の日替わり定食@石巻市

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この日は、石巻へ.

とこしえなムービーを貸切状態で鑑賞し、
腹がへった…と
なんとなく辿り着いたのがこちら。

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とよ川さん。
気が付けば諸々ご縁のあるお店のそばではありませんか。

そういう意味では外観に、退かぬ!媚びぬ!!省みぬ!!!
等とは全く思わず入店。

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定食のラインナップに心惹かれますが、
お値段750円に魅かれ日替わり定食をいただきます。

おでんとミニ刺身セット、着膳。

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小鉢2種、ご飯も多彩なおかずを受けきれるような容量です。

メインのおでんを押さえて目を引くお刺身の小鉢。
「ミニ」と言っておきながらも充実の水族館ぶりです。

やはり港町、石巻。魚たちの層の厚さはダテじゃないようです。

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おでんも大根、さつま揚げ、こんにゃくといったシンプルな素材に
丸い餃子。

中華系の餃子も和風のダシと出会うことでまた新たな魅力を
発揮しているようです。
悪くありません。

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そして、ワタクシ的にうれしかったのがお味噌汁。
たかだか味噌汁と言っても、されど味噌汁。

この日の味噌汁の具材はニンジン。
切り方から判断しますと、他の料理の切れ端のようにも思えます。

その切れ端=残り
を大事に使う姿勢がうかがえます。

ドライ系の具ではなく、料理の過程ででたものを
味噌汁で大切に扱おうという姿勢は、ワタクシとても好きです。

小さなところも丁寧に無駄なく…
そういうお店は仕事ぶりもよいのだと信じています。

ですので、この日とよ川さんに出合い
お昼をいただけたことをとても幸せに思います。

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わかめの小鉢。
やはり海のお店。
ちょこんとキュウリ。

益々
とよ川さんに惚れてしまいます。

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かき揚げはあらかじめ天つゆに浸したようです。
だからといってべっちょりではない不思議な食感。

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目立たない、何気ないところまで気を配るとよ川さん。

カンガルーのハンバーグ屋さんの外観にたじろぎ、
赴くままにたどり着きました。

セイシュン時代を過ごした街ですが
当時は気が付けなかったお店に今になって出会えることに感謝します。





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[ 2020/03/20 18:20 ] B級グルメ | TB(0) | CM(2)

ろっこ@仙台市青葉区

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この日は、仙台市内の横丁へ。
昼呑みをもくろんで、ピザやイタリアン中心のろっこさんへ。
以前かなりな酔い加減で伺いましたが、
とても良い感じだった印象が強く、シラフの体で伺います。

ビルが立ち並ぶ周辺とは対照的に
良い意味で歴史と文化と大衆的な雰囲気な
バラックチックな路地街にそのお店はあります。

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数坪の店内に、6人がけ?のカウンターと調理場。
2階席もあるようで、アナログ的な人力昇降機で
嬢かいと調理場の器のやり取りをしています。

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まづは、サラダ。
そして、ランチドリンクはビアンコで。
今日は最初から行く気十分。クルマではなく電車での行動。

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こちらの柱の一つはピザ。
具材のバリエーションはシンプルなものから興味深い組み合わせまで
ツボを押さえたようなラインナップです。

その中から、浦戸諸島の海苔とチーズのピザをチョイス。

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それなりに思い入れの場所のある素材ですので
心を込め、魂込めていただきたいと思います。

その証しとして生ビールを追加オーダー。

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そして、カウンターのお寿司屋さん風ガラスケースにある
お料理からも追加オーダー。

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心惹かれる料理たちが鎮座しておりますが、
その中から

「オレを食べろ!」

というようなメッセージが聞こえたような気がしてエビとポテトのマリネ。
さらにビールをいただきたくなる気分でしたが、何とか抑制。

この日は平日、道行くビジネスパーソンたちへの
優越感がなかったかと言えばウソになります。

それ以上に昼呑みの幸せを感じながら次のお楽しみへ向かうのでした。
次回は家族で向かえればと思います。



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[ 2020/03/14 16:18 ] 昼呑みの儀 | TB(0) | CM(0)

家で迎えた0311 14:46

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9年目。

自宅にて
庭掃除
車のメンテ
タイヤの履き替え

隣町の防災無線からサイレンが聞こえ、
海のある東に向かって目をつぶりました。

今まではどこかで何かしていたり
職場だったり

家での1446は初めてです。
それもまたあり。

どこにいようが
想うことはできるのですから。





昨年は天候を勘案し「中止」の決断を余儀なくされた、
気仙沼での活動が今年も行われる案内をいただきました。

時間のやりくりができたので、
「止まったままの時間」が進めるようになれば
と思っていましたが、
コロナの感染拡大…

予想通り中止の連絡をいただきました。
彼らの決断をワタクシは支持するし、
そうでなければ彼らではない気もするのです。

だから、残念とか、活動したかったという
言葉は使いたくありませんし、
使う気など毛頭ありません。




中止だったら、
月命日に機会をみて伺っている
あの海岸へと考えておりました。

何度か勝手にやっている、
ワタクシの中では不定期ながらもレギュラーな活動なので
「特別」ではない、普段の範疇に入るということにしておきます。

人ごみもありませんから感染のリスクも避けることができます。

駄菓子菓子、強風、暴風…
それでころではありませんのでやむなく見送り。

当地の銘菓でホワイトデーのお返しを調達し帰宅。

休校中のムスメと昼を食べ
その後、カノジョは課題に取り組み、
ワタクシは普段さぼりっぱなしの片づけを…

どこにいるか
なにをしているか

にこだわらないで

想うことはどこにいてもできるのです。

忘れません。
諦めません。



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[ 2020/03/13 06:04 ] A面のヤボ用 | TB(0) | CM(0)