
アンドロメダ星雲に浮かぶある惑星の
オーブン島(とう)に住む少年は
深夜ラジオのドラマの舞台、グラタン王国の話に夢中になっていた。
そんな時、れんじいさんの料理に感動した少年は
れんじいさんが営む「じゃがいもおっさんの店」で働き始め、
自らは気づかぬままその感性と腕前を上げていた。
5つの島の振興策「五島キャンペーン」で3人が向かったのは
れんじいさんの妹、ヨシミの店がある ノッ島。
諸島の人々は「のっと」と呼んでいる。
ヨシミは初対面の少年を気さくに迎える。
「ゆっくりしていってぇ~」
メイは嬉しそうにヨシミと話している。
じゃがいもおっさんは、調理場の板前に挨拶に入って行く。
一息ついてさっそく料理をごちそうになる。
ノッ島は漁業が盛んな島だ。
「海荒れててあんまりいいのはいってなくてごめんねぇ~」
ホールで接客を司どるヨシミは申し訳なさそうに切り出しながら
最初のお皿を運んできた。

お通しは色鮮やかな食材が並ぶ。
じゃがいもおっさん、メイ、少年の三人はグラスを合わせ
これから運ばれる料理に期待を高める。
食材に熱を通したじゃがいもおっさんの料理とは違い、
新鮮な魚介の素材を活かした料理が続く。
タラの白子はポン酢仕立てで。

イカのなめらかでまろやかで心地よい食感。

「美味しいけど、ちょっとお腹にたまるのがほしい~
ヨシミさん、なんかお願が~い!」
肴とお酒を楽しんだメイは、ここでも自分のペースで過ごしている。
「んでねぇ…、賄いでさっき食べたんだけど雑炊でもいい?」
調理場の若い板前がそんな会話を予測していたかのように
出てきたのが鯛雑炊。

こうしてノッ島での楽しい夜は少年の引き出しを増やすこととなるのだが
それがわかるのはまた先の話だった。
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